仕事で疲れたり、人から嫌な扱いを受けたとき、沖縄だったらこんなきつい物言いする人なんていないのに、沖縄だったら海や空が癒してくれるのに!って思っちゃったりなんかします。
旅行じゃなくていっそ移住してしまえたらって思うようなことも時々あります。
そんなときわたしがするのはネットサーフィン。「沖縄 移住」で検索すると移住者たちのブログが山のように出てくるのです。
今まで旅先としてしか見ていなかった沖縄を本気で移住先にと考え、実際に行動を起こした人たちのことが、本人たちの言葉で書かれています。
同じ日本なのに起きてしまう言葉の壁や、仕事のこと、食生活の話や住まいの事情などを都会でしていた生活と比較して面白おかしく語っているサイトがたくさんあって、いくら読んでいても飽きません。
でも、そういったブログをたくさん読むうちに思いました。移住者を受け入れる側はどう思ってるんだろうって。
そこであっちこっち検索してたどり着いた本が、吉田直人さんの「金なし、コネなし、沖縄暮らし」。彼はいっとき都会で生活を営んだものの、故郷の沖縄へ戻ってきたうちなーんちゅ。当然何に関してもあくまで沖縄ベースで物事を感じ、都会人の心も理解しながら語ってくれるのでなんというか痒い所に手が届く思いがします。
吉田直人さんはまるで、うちなーんちゅとやまとんちゅを通い合わせてくれる通訳さんのようです。沖縄にかぶれているだけのエセうちなーんちゅじゃない、生粋のうちなーんちゅの言葉は素直に沁みてきます。
例えば今までわたしは沖縄が好きとは言うものの、ひめゆりの塔に代表される、沖縄戦に関係するものには敢えて触れてこないようにしてきました。沖縄の悲しい時代背景を知ることで、旅行が楽しめなくなるんじゃないかと思ったからです。
けれどそうじゃない。
いくら辛い時代背景だろうと、それを乗り越えた上に今の沖縄の景色や人々、そして生活が広がっているんです。
「金なし、コネなし、沖縄暮らし」はどこか一点に目隠しをしたままではいつまでたっても正しい沖縄の姿を認識することができないのだ、と教えてくれたように思います。そして強要することもなく、むしろ自主的にその目隠し部分を明らかにすることを促してくれました。
更に「金なし、コネなし、沖縄暮らし」の素晴らしいところは詳細なデータも記載し、解説してくれている点です。沖縄に移住してくる人のパターン、沖縄で就く職業のこと、地域別の特色などは本当に参考になります。
「金なし、コネなし、沖縄暮らし」を読むことで、どれだけ自分の「沖縄に移住した~い」が軽々しい言葉だったか、甘えだったかがわかりました。そしてますます沖縄とうちなーんちゅが気になりだしました。